この記事の要約
自費メニューの価格は、相場に合わせるのではなく、原価と確保したい利益から決めるのが基本です。原価率は変動費÷売上で計算でき、材料費の目安は売上の5〜10%。固定費を賄ったうえで、営業利益15〜20%が健全経営の目安とされます。価格の決め方は、原価から積み上げる方法と、売上目標から逆算する方法の2つ。競合価格はチェックしつつも、軸は自院の方針です。安易に低く設定すると、後から上げるのは難しくなります。値下げより、価値の伝え方で勝負しましょう。
- 原価率 = 変動費 ÷ 売上高。材料費の目安は売上の5〜10%
- 固定費を賄い、営業利益15〜20%が健全経営の目安
- 価格は「原価から積み上げ」か「売上目標から逆算」で決める
- 競合は参考、軸は自院方針。安易な低価格は後で上げにくい
目次

1. 価格設定の出発点は原価と利益
これから、価格設定の出発点となる原価と利益の考え方を解説します。
- 1-1. 原価率の計算と目安
- 1-2. 確保したい営業利益から考える
1-1. 原価率の計算と目安
価格を考える第一歩は、原価率を把握することです。
原価率は、変動費÷売上高で計算します。たとえば1施術で使う消耗品が500円、施術料金が5,000円なら、原価率は10%。美容サロンの材料費は売上の5〜10%が適正水準とされ、ここを大きく超えるなら、消耗品や仕入れの見直しが必要かもしれません。
自分のメニューの原価率を出してみると、意外と高かった、ということもあります。まずは1施術あたりの変動費を、具体的な金額で書き出してみましょう。
原価率が分かると、価格設定の地に足がつきます。
1-2. 確保したい営業利益から考える
次に、最終的に手元に残したい利益から逆算します。
売上から変動費を引いた粗利益で、人件費や家賃などの固定費を賄います。一般に、人件費は売上の50%前後、家賃は10〜15%、広告費は5〜10%が目安とされ、最終的に営業利益15〜20%を確保できると健全な経営に近づきます。この利益を残せる価格になっているかを確認します。
売上が立っても利益が残らない、というのは価格設定が利益から逆算できていないサインかもしれません。残したい利益を先に決めておくと、価格の下限が見えてきます。
原価と利益の両方から見ることで、価格の土台が固まります。

2. 価格の決め方2つのアプローチ
これから、価格の決め方の2つのアプローチを解説します。
- 2-1. 原価から積み上げる
- 2-2. 売上目標から逆算する
2-1. 原価から積み上げる
ひとつめは、原価に必要な利益を乗せて積み上げる方法です。
1施術の変動費に、時間あたりの人件費や固定費、確保したい利益を乗せて、価格の下限を決めます。この下限を割り込む価格は、どれだけ集客できても利益が残りません。クリニカルマシンの施術なら、消耗品費に加えて機器の回収分も意識して積み上げます。
感覚で価格を決めると、この下限を下回っていることに気づけません。一度きちんと積み上げてみると、譲ってはいけないラインが見えてきます。
原価からの積み上げは、赤字を避けるための土台になります。
2-2. 売上目標から逆算する
ふたつめは、売上目標から逆算する方法です。
時間単価という考え方が役立ちます。人件費・家賃・光熱費・経費を含めて、1時間あたりいくら稼ぎたいかを決め、施術時間をかけて価格を出します。たとえば時間単価を5,000円とし、施術が1時間なら5,000円が目安、というイメージです。月の売上目標から、必要な単価と件数を逆算する見方もできます。
積み上げと逆算、両方から価格を挟み込むと、納得感のある数字に落ち着きます。片方だけだと、高すぎたり安すぎたりしやすいんですね。
売上目標からの逆算は、価格に経営の意思を持たせてくれます。
3. 相場・競合との付き合い方
これから、相場や競合との付き合い方を解説します。
- 3-1. 競合はチェック、軸は自院方針
- 3-2. 安易な低価格は後で上げにくい
3-1. 競合はチェック、軸は自院方針
競合の価格は確認しつつ、軸はあくまで自院の方針に置きます。
自由診療の料金は各院が独自に決められます。エリア内の競合価格は市場感覚を知る材料として参考になりますが、自院のコスト構造は他院と違います。相場に合わせて決めると、自院では利益が残らない価格になってしまうことがあります。
周りが安いから、とつられて下げると、苦しくなるのは自分です。競合は地図として使い、進む道は自院の数字で決めましょう。
競合は参考、判断の軸は自院方針とコスト構造に置きます。
3-2. 安易な低価格は後で上げにくい
気をつけたいのが、軽い気持ちで低く設定してしまうことです。
方針を意識せずに安く設定すると、その後で高級路線に変えるのは至難の業です。一度ついた価格イメージは、なかなか変えられません。最初に安くして集めた客層と、後で目指したい客層がずれてしまうこともあります。だからこそ、立ち上げ時の価格は慎重に決めたいんですね。
とりあえず安く、で始めると、後で自分の首を絞めることになりがちです。最初の価格は、未来の自院の姿から逆算して決めましょう。
立ち上げ時の価格は、後から変えにくい前提で慎重に設定します。
4. 値下げに頼らない価格づくり
これから、値下げに頼らない価格づくりを解説します。
- 4-1. 値下げより価値の伝え方
- 4-2. 回収計画と整合させる
4-1. 値下げより価値の伝え方
集客が不安でも、値下げの前に価値の伝え方を見直します。
価格を下げるほど、利益も回収も遠のきます。それよりも、カウンセリングでの説明やメニュー設計、安心して受けられる体制づくりで価値を伝えるほうが、結果的に安定します。なぜその価格なのかが伝われば、納得して選んでもらえます。
安さで集めたお客様は、より安い場所へ移りやすいもの。価値で選んでもらえると、長く通ってもらえます。
値下げではなく、価値の伝え方で選ばれる状態を目指しましょう。
4-2. 回収計画と整合させる
最後に、価格は機器の回収計画と整合させます。
クリニカルマシンの施術単価は、機器の回収月数の計算にも直接効いてきます。単価が回収計画と噛み合っていないと、想定どおりに投資を回収できません。価格を決めたら、その単価で本当に回収できるかを、回収月数の式に戻して確認しておくと安心です。
価格と回収を別々に考えると、どこかでつじつまが合わなくなります。ひとつながりで見ることが、ぶれない経営につながります。
価格は回収計画とセットで設計するのが基本です。具体的な単価は、回収計画や運用体制とあわせて検討してください。

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よくある質問(Q&A)
Q1. 周りに合わせて価格を決めてもいいですか?
競合価格は市場感覚を知る参考になりますが、自院のコスト構造は異なります。原価と利益から逆算した価格を基準に、相場は補助的に使うのが安全です。
Q2. 原価率はどのくらいが目安ですか?
美容サロンの材料費は売上の5〜10%が適正水準とされています。これを大きく超える場合は、消耗品や仕入れの見直しを検討しましょう。
Q3. 集客のために値下げすべきですか?
値下げは利益と回収を遠ざけ、後から価格を上げるのも難しくなります。まずは価値の伝え方やメニュー設計の見直しをおすすめします。
※本記事は一般的な考え方を整理したものであり、法的・税務的・医療的な判断は専門家確認を前提とします。数値は目安であり、特定の効果・結果を保証するものではありません。

