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クリニカルマシンの回収月数の出し方と損益分岐の計算

粕谷ありさ監修:粕谷ありさ(看護師・株式会社GrandFusion 代表取締役)
クリニカルマシンの回収月数の出し方と損益分岐の計算

この記事の要約

クリニカルマシンの回収は、感覚ではなく式で考えると判断がぶれません。回収月数は、総導入コストを、1施術あたりの利益と想定月間施術数のかけ算で割って求めます。あわせて損益分岐点(固定費÷(1−変動費率))を押さえると、最低限いくら売れば赤字にならないかが見えます。売上は1日の件数×単価×営業日数で見積もり、稼働率は満稼働を前提にせず保守的に置くのが安全です。変動費率の目安は25〜30%。総導入コストは本体だけでなく消耗品・保守まで含めて考えましょう。

  • 回収月数 = 総導入コスト ÷(1施術あたりの利益 × 想定月間施術数)
  • 損益分岐点 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)。変動費率の目安は25〜30%
  • 売上は「1日の件数 × 単価 × 営業日数」で見積もる
  • 稼働率は保守的に。総導入コストは消耗品・保守まで含める

目次

回収を判断する3ステップの流れ図
回収を判断する全体の流れ(3ステップ)

1. 回収を考える前に押さえる2つの式

これから、回収を考えるうえで土台になる2つの式を解説します。

  • 1-1. 回収月数の式
  • 1-2. 損益分岐点の式

1-1. 回収月数の式

回収月数は、次の式で考えます。

  • 回収月数 = 総導入コスト ÷(1施術あたりの利益 × 想定月間施術数)

1施術あたりの利益は、施術単価から消耗品などの変動費を引いた額です。ここが甘いと、回収の見通し全体が崩れます。純利益の予測から初期投資を割り返して、何ヶ月で回収できるかを見る、という考え方ですね。

導入を決める前にこの式に数字を入れてみると、ぼんやりした不安が、具体的な目標に変わります。何件こなせば回収できるのか、が見えるだけで気持ちがずいぶん楽になります。

まずはこの式に、自院の数字を当てはめてみるところから始めましょう

1-2. 損益分岐点の式

もうひとつ押さえたいのが、損益分岐点の式です。

  • 損益分岐点の売上 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)

これは、最低限いくら売れば赤字にならないかを示す数字です。たとえば固定費が月90万円、変動費率が25%なら、損益分岐点は120万円。つまり月120万円を超えて初めて利益が出る、という見方ができます。回収月数とセットで見ると、毎月どれだけ余裕があるかが分かります。

回収だけ見ていると、目の前の固定費を見落としがちです。損益分岐点を知っておくと、無理のないペースで回収を進められます。

回収月数と損益分岐点、この2つの式が経営判断の土台になります

回収月数と損益分岐点の2つの計算式の図解
回収月数と損益分岐点、2つの式の関係を整理した図解

2. 売上をどう見積もるか

これから、売上の見積もり方を解説します。

  • 2-1. 1日の件数×単価×営業日数
  • 2-2. 稼働率は保守的に置く

2-1. 1日の件数×単価×営業日数

月の売上は、1日の件数×単価×営業日数で見積もります。

その機器を使った施術の単価と、1日に何件こなせるか、月に何日営業するか。この3つをかけ合わせると、月間の売上の見込みが出ます。シンプルですが、回収月数の式に入れる想定月間施術数の根拠になる大切な計算です。

頭の中だけで考えると、つい強気な件数を置いてしまうもの。紙に書き出して計算すると、現実的な数字が見えてきます。

まずは件数・単価・営業日数の3つを具体的に置いてみましょう

2-2. 稼働率は保守的に置く

売上を見積もるとき、稼働率は満稼働を前提にしないことが大切です。

実際には予約の波や季節変動があり、毎日フル稼働とはいきません。想定月間施術数は控えめに置き、保守的な数字で回収できる構成かを確かめます。保守的に見ても回収できるなら、計画に余裕が生まれます。

満稼働で計算した回収月数ほど、あてにならないものはありません。少し物足りないくらいの数字で組むのが、結果的に安全なんですね。

稼働率は控えめに。これだけで計画の信頼性がぐっと上がります

3. コスト(固定費・変動費)の整理

これから、コストの整理の仕方を解説します。

  • 3-1. 変動費率の目安(25〜30%)
  • 3-2. 総導入コストに含めるもの

3-1. 変動費率の目安(25〜30%)

変動費率は、売上に対しておおむね25〜30%が目安とされています。

内訳のイメージは、原材料費が8〜10%、水道光熱費が3〜5%、消耗品費が5〜7%、その他諸経費が5〜10%ほど。これらを合計すると、だいたい25〜30%に収まります。自院の数字がこの範囲から大きく外れるなら、どこかにムダや見落としがないか点検する目安になります。

変動費率が分かると、損益分岐点の式にそのまま入れられます。ざっくりでも自院の率を把握しておくと、判断が速くなります。

まずは変動費率を、目安の25〜30%を起点に自院用に調整してみましょう

3-2. 総導入コストに含めるもの

総導入コストは、本体価格だけではありません。

消耗品の初期分、保守費、トレーニング費、リースなら総支払額まで含めて考えます。これらを織り込まないと、回収が見かけより遅れます。回収月数の式の分子(総導入コスト)が小さく見えていると、計画全体が甘くなってしまうんですね。

本体価格だけを見て安いと判断すると、後から保守や消耗品でじわじわ効いてきます。出口までの総額で見るのが鉄則です。

総導入コストは、本体に付随する費用までまとめて積み上げましょう

4. 計算を意思決定にどう使うか

これから、計算結果を意思決定にどう使うかを解説します。

  • 4-1. 価格の妥当性は回収で判断する
  • 4-2. 数字を保守的に置く理由

4-1. 価格の妥当性は回収で判断する

機器の価格が高いか安いかは、回収できるかどうかで判断します。

高くても、想定する稼働で無理なく回収できるなら合理的な投資です。逆に安くても、使うメニューがなく稼働しなければ回収できません。価格そのものではなく、回収月数と損益分岐点に当てはめて、計画として成り立つかで見ます。

安い機器に飛びついて、結局ほとんど使わなかった。そんな話は珍しくありません。値段の印象に引っ張られず、数字で判断したいですね。

価格の妥当性は、いつでも回収できるかという物差しで見ましょう

4-2. 数字を保守的に置く理由

計算に使う数字は、全体を通して保守的に置くのが安全です。

件数も単価も強気に置けば、回収月数は短く見えます。でもそれは机上の数字。予約が思うように埋まらない月もある前提で組んでおけば、いざというときに慌てずに済みます。保守的な計画で回収できるなら、上振れしたぶんは余裕になります。

楽観的な計画ほど、現実とのギャップに苦しみます。少し堅めに見ておくのは、不安を減らすための備えでもあるんですね。

数字を保守的に置くことが、回収計画をぶれさせないコツです。詳細な試算は、メニュー単価や運用体制とあわせて行ってください。

導入前の回収チェックリスト5項目
導入を決める前に確認したい5項目

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よくある質問(Q&A)

Q1. 回収まで何ヶ月が目安ですか?

機種・単価・稼働で大きく変わるため、一概には言えません。回収月数の式に自院の数字を入れ、保守的な稼働でも回収できるかを確認するのが現実的です。

Q2. 損益分岐点はどう使えばいいですか?

固定費÷(1−変動費率)で、赤字にならない最低売上が分かります。毎月この金額を超えられそうかを見ることで、回収のペースに無理がないか確認できます。

Q3. 価格が高い機器は避けるべきですか?

価格の高低そのものより、回収できるかで判断します。高くても回収の見通しが立つなら合理的、安くても稼働しなければ回収できません。

※本記事は一般的な考え方を整理したものであり、法的・税務的・医療的な判断は専門家確認を前提とします。数値は目安であり、特定の効果・結果を保証するものではありません。

粕谷ありさ
この記事の監修者

粕谷ありさ看護師/株式会社GrandFusion 代表取締役

看護師として臨床現場に立ち、美容医療の現場も経験。看護師専門サロン「CLINICAL BEAUTE」を立ち上げ、クリニカルマシンの開発・販売、開業アカデミーの運営までを手がける。医療と美容の両方を知る立場から「看護師のセカンドキャリア」とクリニカルサロンの開業・運営を支援。

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