「看護師サロンを開いたら、月商はいくらを目標にすればいい?」——開業前にいちばん答えがほしいのに、いちばんネット上の情報がバラバラな問いです。
100万円と書いてあるサイトもあれば、300万円・500万円という記事もあります。これは前提(一人サロンか・店舗形態・客単価)が違うので、どれも「他人のサロンの正解」でしかありません。
結論を先に言うと、月商目標は 「客単価 × 1日の施術可能数 × 営業日数 × 稼働率」 の4変数を、自分の開業スタイルに当てはめて逆算するしかないです。 そして看護師サロン(一人施術・自宅/マンション開業)であれば、おおむね月商60万〜120万円のレンジが「現実的に到達しうるライン」として最初の目安になります。
この記事では、その逆算式と、開業スタイル別の現実的レンジ、そして「目標を無理ゲーにしないための注意点」を整理します。総費用や資金調達の話は別記事に分けてあるので、お金の入口側はそちらと併せて見てください。
→ 開業の総費用は別記事で詳しく書いています:看護師サロン開業の総費用はいくら?|初期・運転・生活費の現実

1. なぜ「月商目標を先に決める」必要があるのか
開業準備のとき、多くの人は「メニューを決める→価格を決める→集客方法を考える」の順で進めます。 でもこの順序だと、月商はあとから出てきた結果でしかなく、「ふたを開けてみたら生活費が足りない」というよくある事故になります。
経営の順番は逆で、
- 自分が必要とする月の手取り(生活費+税金+将来の貯蓄)
- そこから逆算した必要月商
- その月商を達成するメニュー単価と回転数
- その回転数を作る集客
の順で組み立てます。
つまり月商目標は「夢」ではなく、「いまの自分が暮らしを成立させるために、最低限ここまでは売上を作らないといけないライン」 として最初に決めるものです。 ここを決めないまま価格設計や集客を考えると、安く・たくさん・無理して、の負のループに入りやすくなります。
2. 月商目標の逆算式|4つの変数で決まる
看護師サロンの月商目標は、次のシンプルな式で表せます。
月商 = 客単価 × 1日あたり施術可能枠数 × 営業日数 × 稼働率
ひとつずつ意味を確認します。
2-1. 客単価
1回あたりの平均会計金額です。 看護師サロンが扱うクリニカルマシンのフェイシャル系メニューであれば、回数券・コースを前提に 1回換算で1万〜2.5万円 のレンジが現実的な目安になります(高単価・低回転モデル)。 「初回お試し」だけが多くて新規が定着しないと、見かけ上の客単価は下がるので、初回価格と本コースの両方を設計する必要があります。
2-2. 1日あたり施術可能枠数
ベッド数 × 1ベッドあたりの施術回転数で決まります。 一人施術・1ベッドだと、1施術60〜90分+カウンセリング・準備片付け15〜20分で、1日あたり最大4〜5枠が物理上限です。 ここを「6枠・7枠」と多く見積もると、現実とズレた月商目標になります。
2-3. 営業日数
「月に何日営業するか」です。 週6日営業なら月25日前後、週5日営業なら月20〜22日。 一人サロンは予約管理・経理・SNSもひとりで回すため、最初から月25日フル稼働で目標を組むと、開業3か月目で疲弊しやすいです。
2-4. 稼働率
「営業日数のうち、何%が予約で埋まるか」。 開業半年以内のリアルなラインは 30〜60% が中心レンジで、初月から80%は前提にしないほうが安全です。

3. 開業スタイル別|月商の現実的レンジ
逆算式に、看護師サロンに多い3つの開業スタイルを当てはめてみます。 数字は 「半年〜1年かけて到達する現実的なライン」 の目安で、開業初月の数字ではありません。
3-1. 自宅サロン(1ベッド・週5日)
- 客単価:1.5万円
- 1日枠数:3〜4枠
- 営業日数:月20日
- 稼働率:30〜50%
月商目安:30万〜60万円
副業・小さく始める・固定費が極小、というモデル向けです。 家賃が乗らないので、利益率は高くなりやすい一方、絶対額の天井は低くなります。
3-2. マンション1室サロン(1ベッド・週5日)
- 客単価:1.8〜2万円
- 1日枠数:3〜4枠
- 営業日数:月22日
- 稼働率:40〜60%
月商目安:60万〜100万円
家賃・水光熱・備品などの固定費が乗るぶん、自宅サロンよりも到達ラインを高く設定する必要があります。 看護師サロンで本業化を狙うときに、いちばん多い形態です。
3-3. テナント・路面サロン(1〜2ベッド・週6日)
- 客単価:1.8〜2.5万円
- 1日枠数:4〜5枠
- 営業日数:月25日
- 稼働率:50〜70%
月商目安:100万〜180万円
集客力・人通り・看板力を最大限活かす形態ですが、家賃・初期内装費が大きく、損益分岐点も上がります。 初年度から無理に狙うよりも、自宅/マンション形態で実績を作ってから移行する経営者も多いです。
開業スタイルそのものの選び方は、こちらの記事で整理しています:自宅サロンとマンションの1室、看護師はどっちで開業する?2択の判断軸と費用感
4. 月商目標を「無理ゲー」にしないための3つの注意
逆算式で数字を出すと、つい背伸びした目標を入れたくなります。 でも、最初の月商目標は 「達成しやすい現実値」と「半年後の挑戦値」の2段構え が安全です。 ここでは、無理ゲーになりやすい3つのパターンを挙げます。
4-1. 稼働率を最初から80%以上で設定しない
新規サロンの予約が初月から80%埋まることは、現実的にほとんどありません。 開業1〜3か月目は20〜40%を前提にし、半年で50〜60%、1年で60〜70%、という階段で組むと現実とズレません。
4-2. 1日枠を物理上限で組まない
「1日5枠×月25日=月125枠」で計算した月商は、机上の最大値であって、目標ではありません。 一人サロンは施術以外(清掃・洗濯・SNS・経理・カウンセリング)に1日2〜3時間取られるため、施術可能上限は物理可能上限よりも常に低くなります。
4-3. 高単価=悪、と決めつけない
「自分の地域ではこの単価は高すぎる」と決めつけて単価を下げると、薄利多売モデルになり、回転数で稼ぐ必要が出てきます。 一人サロンが回転数で稼ぐと、ほぼ確実に体力が持ちません。 看護師という背景・クリニカルマシンという機器・一対一のカウンセリング、これらを価格に正しく反映させる前提で組んでいきます。
メニュー価格の決め方の根本は、こちらの記事に詳しく書いています:エステ開業の事業計画書の作り方|看護師が数字とコンセプトでつまずかないために
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よくある質問
Q1. 月商60万円で生活はできますか?
一概には言えませんが、自宅サロン・家族の収入と合算できる場合は、月商60万円・利益率60%前後で手取り36万円という設計は成立しうるラインです。 一人暮らし・サロンが唯一の収入源、という場合は、月商60万円ではやや厳しく、80万〜100万円のラインを目安にしたほうが現実的です。
Q2. 看護師の給料を超えるのに、どれくらいかかりますか?
夜勤あり常勤の看護師の手取り(おおむね年収400〜500万円)を、看護師サロンの利益で超えるには、月商目安で おおむね80万〜120万円・利益率55〜65% を半年〜1年で達成する必要があります。 「最初の3か月で看護師時代の給料を超える」を前提に組むと、ほぼ計画倒れになるので注意してください。
Q3. 物販を入れると月商はどれくらい伸びますか?
物販比率は、サロン経営全体の 施術売上の10〜20% をベンチマークに置く事業者が多いです。 つまり施術売上80万円なら物販8〜16万円ほど。 物販はマージンが取れる一方、在庫リスク・薬機法上の広告ルールがあるため、いきなり主力にせず、施術売上の補完として組み込みます。 広告表現のNG・OKはこちらに整理しています:エステサロンの広告表現ルール|薬機法・景表法でNGになる言葉と言い換え方
Q4. 開業3か月目で月商が10万円台です、失敗ですか?
開業3か月目で月商10万〜20万円は、自宅・マンション形態であればよくある通過点です。 失敗かどうかは、月商の絶対値ではなく「新規→リピート→定着」の流れができているかで判断します。 新規が3か月で30人来ているのに2回目来店が3割を切っていれば、価格でも集客でもなく、施術・接客・提案設計に課題があります。 売上の数字よりも、来店動線のどこで止まっているかを先に見るのが、立て直しの近道です。
Q5. 月商目標は誰かに相談したほうがいいですか?
可能なら、同じ「看護師×非医療エステ」の開業経験者か、一人サロン経営に詳しい第三者に見てもらうことを推奨します。 目標値は本人の生活費・家族構成・地域・体力で大きく変わるため、ネット記事の平均値だけで決めると、ほぼズレます。 本記事の数字も、あくまで「議論の出発点」として使ってください。 投資・資金計画について個別の判断が必要な場合は、税理士・中小企業診断士など専門家への相談を検討してください。
まとめ
看護師サロンの月商目標は、誰かの正解をコピーするのではなく、自分の開業スタイル・客単価・施術可能数・営業日数・稼働率の4変数で逆算するのが正解です。
開業スタイル別の現実的レンジは、自宅サロン30万〜60万円、マンション1室サロン60万〜100万円、テナント・路面サロン100万〜180万円。 ここを起点に、生活費から必要月商をすり合わせ、半年後の挑戦値とセットで「2段構え」で設計してください。
月商は気合いで作るものではなく、設計図で作るものです。 数字から逃げない人だけが、サロン経営でちゃんと続いていきます。
※本記事は、株式会社GrandFusion/CL.hub編集部による情報提供であり、特定の効果効能や収益を保証するものではありません。資金計画・税務・契約に関わる判断は、税理士・中小企業診断士など専門家へのご相談を推奨します。

